美少女ポートレイトと友人のデスマスク

PORTRAIT

プロ野球ドラフト会議が迫ってきました。

ここ数年、この時期にだけ送られてくるメッセージがありました。

同い年の阪神ファン仲間からです。

16年前には、Peaceboatで一緒に地球一周をしています。

同部屋で3か月過ごしました。

でもfacebookの友達がいつの間にか切られていたり、小さなことの行き違いが重なって、ここ数年は関係がぎくしゃくしていました。

だから、ドラフト会議前後の時期だけ、タイガースのドラフトについて他愛もないメッセージをもらっても、正直「なんなんだよ」という気持ちがありました。メッセージもらったから再度友達申請しても無視されるし(笑)。

そんな彼から今年の年初、重篤な病気にかかった、とメッセージをもらいました。慢性腎不全と慢性心不全。

「国が指定する難病に同時に2つ発症するという運のなさ。身体障がい者になってしまいました」。

それに対して私は、病気は「考え方」がもたらす、と考えているので、そういう内容の冷徹な返信を返しました。いま思い返せば、何も知らずにずいぶん非情なことをしたなぁ、と我ながら思います。

「ヨドバシ君(私のこと)も健康にご留意ください」で終わる返信をもらい、それに対して私はリアクションせず。

実はこころの片隅では会いに行こうか、と考えていました。でも自分のビジネスの拡大に、面会訪問の時間を取ることは関係がない、と思ってしまっていて、ついにその時間を取ることなく終わりました。

「よど兄(私のこと)、○○ちゃん(彼のニックネーム)のこと、知ってる?」

10月12日水曜日の朝、地球一周仲間の女の子からメッセージが来ていることに気づきました。

あぁ、やつは死んだんだ。とすぐに気づきました。特に感情は動かず。

もう4年ほどか会っていないし、関係がぎくしゃくしていたので、

お通夜に行くかどうかさえ迷いました。そして最初は行かない方向で考えていた。

でも、結局、なんとなく、行くことに決めました。

新宿から1時間以上かけ、神奈川の西部にある私鉄駅に降り立ち、駅から徒歩15分の葬儀会場に着いて

「○○家葬儀式場」という表示を目にしたとき、

はじめて「まじかよ」と、実感が湧き、心がしびれてきました。

3階に上がり、祭壇の前に立って彼の遺影を前に手を合わせたとき、

こころを奪われて目を閉じることができませんでした。

彼のデスマスクを目にすると、こころがからっぽになって、じっと、、ずっと、しばらくの間、そのデスマスクに見入りました。

そして、2ショットだけ、ど真正面からデスマスクの撮影をさせていただきました。

会場に誰も知った顔はなかったので、席を占めて寿司をつまむ気はなく、

会場の隅に立って独り、涙しました。

私はナルシストのカメラマンなので、夜な夜な

自分の撮影した、多くは美少女の写真に

見惚れながら酒を進めることが多いのですが、

水曜夜から、

私が毎夜、見惚れるのは、享年四十四歳の友人のデスマスクです。

愛しい、の一言ですね。

いまある我が家のテレビジョン、東芝REGZAを池袋のマップカメラで調達して、配送手続きまでしてくれたのも彼だし。

でもテレビが届いた日から、

「テレビの調子はどうですか、不具合はないですか?」

「よかったら、外付けハードディスクがあまってるから送ろうか?」

と、毎日のようにメールが来て、

テレビの価値観が低く、かつブラック企業の業務がキツくて、しばらく梱包をひらくことすらしなかった私は、毎日届く彼からのメールを「ウザい」とすら思ってしまい、返信をおろそかにしました。

人間、勝手なものです。

人間への愛を深めさせてくれた彼に、

こころから感謝をささげるとともに、

いまこの瞬間にも彼とともにあることを実感しています。

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