望遠レンズで広角で撮れる憧れ
これを聞いてどう思われるだろうか。
ある程度話のわかる写真知識のある方ならば
「何も言っているんだろう」
と思うかもしれないし、
カメラマンであるならば、もしかしたら
共感してくれるかもしれない。
望遠レンズというのは圧縮効果があり、
背景であるモデルさんの後方の遠いところが
さもごく近くのようにこちらに迫ってくるように
写る、という効果のことである。
ちょっと言葉では説明しにくい(笑)
望遠レンズは画角が小さい。
つまり写る範囲の幅が狭い。角度が狭い、ということであり、
そのせいで、このような効果が出る。
それに対して広角レンズというのは画角が広い。
つまり、モデルさんの顔を大体同じ大きさでとらえたとして、
望遠レンズでとらえると、お顔以外に写りこむ範囲が狭い。
モデルさんとの物理的距離も、望遠になればなるほど、焦点距離が
大きくなればなるほど遠くなる。
これは、画面上でモデルさんのお顔を大体同じ大きさでとられようとすると、
という前提での話しである。
それに対して、広角レンズでモデルさんのお顔を、さきほどの場合と同じ大きさで撮ろうとすると、モデルさんにどんどん近づくことになる。
これは広角であればあるほど、モデルさんに近づいていくことになる。
よくNikonやCanonのレンズカタログをご覧いただくとこのあたりのことが
実際の写真作例を用いて、詳しく説明されているから、一度ご覧になってみるといいだろう。
つまり、モデルさんのお顔の大きさを大体同じ大きさでとらえよう、とすると
広角レンズでとらえたときは、お顔以外に写ってくる範囲が比較的広い。写りこむ画角が広い。
望遠レンズだと狭いのである。
昔、フィルムの時代に、GR-1という6万円する高級コンパクトカメラを使っていた。
このカメラは28㎜/f2.8の単焦点である。
24㎜でひとりの人物のお顔だけをアップにすると、少し歪むイメージがあるが、それが28㎜ならぎりぎり、ほぼ歪みなくとらえられた。もちろん画面の端っことかでとらえるとさすがに歪むが。
28㎜で人物のポートレイトを撮ると、広角であるがゆえに、周りの状況も写りこみ、またf2.8の開放で撮るから、それなりにきれいにボケ、味わいのある写真が撮れるから私は好きだったし、販売台数も伸びたのだと思う。
その頃から私は、冒頭の憧れ、、、
望遠レンズで広角のように撮れないかなぁ。
という光学法則を無視した憧れを抱くようになった。
つまりこうである。
望遠レンズというのは、圧縮効果ゆえに、モデルが背景から浮き立つ。
これは広角レンズの比ではない。
一般的に広角レンズは風景レンズだと言われたりする所以である。
一般的には風景写真は、開放絞りで撮ったりはしないものだ。
写っている景色の広い範囲にピントを合わせようとすると絞り込むものだし、
それほど絞り込まなかったとしても、広角レンズではピントは広い範囲に合いやすくなる。
モデルを背景から際立たせようという意図で撮るなら、望遠レンズを使うのが一般的である。
でも、周りの状況を写りこめつつ、モデルを引き立たせることができたから、GR-1は人気カメラになった。その系譜はデジタルの時代になっても続いているほどだ。
では、周りの状況も写りこんだうえで、さらに望遠レンズ並みにモデルさんを引き立たせたいなぁ、そんなことができないかなぁ、というのが冒頭の憧れの真意である。
そして、デジタルの時代は進んだ。
私のこの長年の夢は、Photoshopを多用することで事実上実現した、かもしれない。
それらが、私がこのページで発表している写真たちである。

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